Journal Entry Example in English
英語の勘定科目と仕訳例について、税理士・USCPA(米国公認会計士)が解説します。
英語の勘定科目での複式簿記(double-entry bookkeeping)の仕訳例です。複式簿記は、企業の財務取引を記録し、組織の財務状況や業績を追跡するための会計システムの一種です。複式簿記では、借方(debit)と貸方(credit)への記録を使用して、財務取引を正確に記録します。これにより、企業の資産(assets)、負債(liabilities)、純資産(net assets)、収益(revenues)、費用(expenses)などのすべての取引がバランスするように確保されます。
複式簿記は、次のような特徴があります。
1、借方と貸方への記録
すべての財務取引は、借方(資産の増加、負債と純資産の減少)と貸方(資産の減少、負債と純資産の増加)の両方に記録されます。
2、勘定科目の使用
複式簿記では、各取引を適切な勘定科目で記録します。これにより、企業の財務情報が整理され、追跡しやすくなります。
3、財務諸表の作成
複式簿記に基づいて、貸方残高と借方残高が等しいことを確認するために、財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)が作成されます。これにより、企業の財務状況と業績が正確に示されます。
複式簿記は、企業の財務情報を詳細に追跡し、経営判断をサポートするための強力なツールです。多くの場合、企業や組織が法的要件や財務報告基準を満たすために使用されます。
【期中の取引】
現金(Cash)
現金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
- |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 現金で$300を売り上げた。
(2) 現金で交際費$100を支払った。
現金とは
現金とは、貨幣や紙幣を指し、営業活動において支払いに使用される最も流動性の高い資産です。
現金は、財務諸表上の資産として貸借対照表に記録され、企業の財務状態を評価する上で重要な指標の一つです。
小口現金(Petty Cash)
小口現金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
- |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 小口現金$1,000を、普通預金から引き出した。
(2) 小口現金から、消耗品費$300、旅費交通費$200を支払った。
小口現金とは
小口現金とは、企業が日常的な小額の支払いや経費精算のために用意しておく現金のことを指します。通常、小口現金は一定の金額が予め設定され、財務部門や管理者が管理します。
小口現金は、例えば以下のような用途で使用されます。
1、日常的な経費精算
従業員が業務上の小額の支出を行った際に、現金で精算するために使用されます。
例えば、タクシー代や郵便料金などが該当します。
2、会議や外出先での支払い
会議や外出先での飲食費や交通費などが発生した場合に、現金で精算するために使用されます。
3、小規模な購入や支払い
事務用品や雑費、緊急時の支出など、比較的小額の支払いに使用されます。
企業は小口現金を適切に管理し、定期的な精算や帳簿への記録を行います。これにより、経費の管理や内部統制が強化され、不正や乱用を防ぐことができます。
現金過不足(Cash Over and Short)
現金過不足の英語表記
その他の英語表記 |
---|
cash shortage and overage |
貸借対照表の区分
貸借対照表には表示されない
仕訳例
(1) 現金の帳簿残高$780に対して、実際有高は$750だった。
(2) 現金の帳簿残高$780に対して、実際有高は$800だった。
現金過不足とは
現金過不足とは、現金出納帳の残高と、実際手許有高が一致していない状況をいいます。一致しない金額を一時的に現金過不足として処理し、不一致の原因を突き止めます。
当座預金(Checking Account)
当座預金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
current account |
current deposit |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 売掛金$5,000につき小切手を受け取り、ただちに当座預金口座に預け入れた。
(2) 買掛金$3,000を支払うため、小切手を振り出した。
当座預金とは
当座預金とは、銀行口座に預けられた資金の一形態です。営業活動の支払いなどに利用され、普通預金と異なり利息が付きません。
普通預金(Savings Account)
普通預金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
ordinary deposit |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 普通預金口座に現金$10,000を預け入れた。
(2) 普通預金口座から通信費$2,000を支払った。
普通預金とは
普通預金とは、銀行口座に預けられた資金の一形態であり、一般的な預金口座のことを指します。普通預金口座は、預金者が資金を預け、期間を決めずに利用できる口座です。
普通預金は、一般に金利が低めに設定されています。一方で、預金者はいつでも必要な時に預金を引き出すことができます。そのため、普通預金は資金を安全に保管しながら、いつでも利用できるという点が便利です。
売掛金(Accounts Receivable)
売掛金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
AR |
A/R |
receivables |
accounts receivable – trade |
trade accounts receivable |
outstanding sales account |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 掛けにより$100を売り上げた。
(2) 上記の売掛金$100を現金で回収した。
売掛金とは
売掛金とは、顧客への商品やサービスの提供が完了したが、まだ代金を受け取っていない取引のことを指します。つまり、顧客が商品やサービスの提供を受けた後でも、まだ代金の支払いが行われていない状態です。
売掛金は、企業が売上を実現する際に生じる債権の一種であり、流動資産として貸借対照表に記録されます。顧客は一定期間内に売掛金を支払うことになりますが、その期間や支払い条件は取引や契約によって異なります。
買掛金(Accounts Payable -Trade)
買掛金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
AP |
A/P |
accounts payable – trade |
trade accounts payable |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債
仕訳例
(1) 掛により$80の商品を仕入れた。
(2) 上記の買掛金$80を現金で支払った。
買掛金とは
買掛金とは、企業が商品やサービスの提供を受けたが、まだ代金を支払っていない取引のことを指します。つまり、企業が商品やサービスの提供を受けた後でも、まだ代金の支払いが行われていない状態です。
買掛金は、企業が支払いを行うべき未払いの債務であり、流動負債として貸借対照表に記録されます。企業は、一定期間内に買掛金を支払うことになりますが、その期間や支払い条件は取引や契約によって異なります。
未収入金(Accounts Receivable -Other)
未収入金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
other receivables |
other accounts receivable |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産、固定資産
仕訳例
(1) 車両を$5,000で売却し、代金を翌月末に受け取る契約を結んだ。
(2) 上記の未収入金$5,000を、現金で受け取った。
未収入金とは
未収入金は、建物や車両を売却し、代金の受領が後日となった場合に使われます。これに対して、本業である商品の販売やサービスの提供の代金の受領が後日となった場合には「売掛金」が使われます。
未払金(Accounts Payable -Other)
未払金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
other payables |
other accounts payable |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債、固定負債
仕訳例
(1) 車両を$5,000で購入し、代金を翌月末に支払う契約を結んだ。
(2) 上記の未払金$5,000を、現金で支払った。
未払金とは
未払金は、建物や車両を購入し、代金の支払いが後日となった場合に使われます。これに対して、本業である商品の販売やサービスの提供の代金の支払いが後日となった場合には「買掛金」が使われます。
前渡金(Advance Payment)
前渡金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
advances to suppliers |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 商品仕入の前渡金として現金$500を支払った。
(2) 上記につき、残金$500を支払い、商品を受け取った。
前渡金とは
前渡金とは、事前に支払われた金額のことを指します。通常、商品やサービスの提供を受ける前に支払ったものです。前渡金は、将来的に提供される商品やサービスの一部や全額を支払うことで、取引の確定や取引の進行を保証するために使用されます。前渡金は、貸借対照表上の資産として記録されます。
前受金(Advance Received)
前受金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
advances from customers |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債
仕訳例
(1) 商品代金$1,000のうち、現金$500を前受金として受け取った。
(2) 上記につき、残金$500を受け取り、商品を引き渡した。
前受金とは
前受金とは、事前に受け取った金額のことを指します。通常、商品やサービスの提供をする前に受け取ったものです。前受金は、将来的に提供される商品やサービスの一部や全額を受け取ることで、取引の確定や取引の進行を保証するために使用されます。前受金は、貸借対照表上の負債として記録されます。
貸付金(Loans Receivable)
貸付金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
- |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産、固定資産
仕訳例
(1) 現金で$10,000を貸し付けた。
(2) 上記の貸付金のうち$2,000を回収した。
貸付金とは
貸付金とは、企業が他の企業や個人に対して貸し付けた資金のことを指します。
貸付金は、企業の資産の一部として貸借対照表に記録されます。貸付金は通常、期間ごとの支払いスケジュールや利率などの条件で契約が定められます。貸手は、貸付金が適切に回収されることを確保するために、貸付先の返済能力や信用力を評価し、適切なリスク管理を行う必要があります。
借入金(Borrowings)
借入金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
debt |
loans payable |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債、固定負債
仕訳例
(1) 毎月$1,000を返済する条件で、現金$10,000を借り入れた。
(2) 上記の借入金のうち、$1,000を現金で返済した。
借入金とは
借入金とは、企業が他の企業や個人から借り入れた資金のことを指します。
借入金は、企業の負債の一部として貸借対照表に記録されます。借入金は通常、期間ごとの支払いスケジュールや利率などの条件で契約が定められます。
借り入れは、企業の資金調達の一手段として利用されますが、返済能力や利子負担などのリスクを考慮して慎重に選択される必要があります。借り手は、借入金を返済するための十分な資金や収益を確保することが重要です。
仮払金(Suspense Payment)
仮払金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
temporary payment |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) 従業員への出張費用として、現金$2,000を前渡しした。
(2) 実際にかかった出張費用(旅費交通費)は$1,600だった。残額$400は現金で受け取った。
仮払金とは
仮払金は、会社が概算で一時的に金銭を支払ったときに使われます。後日、内容が分かったときに仮払金から該当する科目(旅費交通費など)に振り替えます。
仮受金(Suspense Receipt)
仮受金の英語表記
その他の英語表記 |
---|
- |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債
仕訳例
(1) 出張中の従業員から普通預金に$1,000の入金があったが、その内容はまだ分かっていない。
(2) 上記の入金$1,000は、得意先からの売掛金の回収であることが判明した。
仮受金とは
仮受金は、会社が金銭を受け取ったものの内容が不明なときに使われます。後日、内容が分かったときに仮受金から該当する科目(売掛金など)に振り替えます。
有形固定資産(Property, plant and equipment:PP&E)
仕訳例
(1) 建物$300,000を購入し、普通預金口座から支払った。
(2) 建物の改良と修繕を行い、$100,000を普通預金口座から支払った。内訳は資本的支出$70,000、収益的支出$30,000である。
有形固定資産とは
有形固定資産は、企業が所有する物理的な形態を持つ資産で、通常は長期間にわたって利用される資産のことを指します。つまり、目に見える形で存在する資産です。これらの資産は、企業の業務遂行や生産活動に使用されます。
貸倒引当金(Allowance for Doubtful Accounts)
仕訳例
(1) x1年度の売掛金残高に対して$5,000の貸倒引当金を計上した。
(2) x1年度に計上した売掛金$2,000が、x2年度に回収不能となった。
貸倒引当金とは
貸倒引当金は、企業が債権の回収が困難または不確実であると判断した場合に、その債権に対する損失を見積もって設定される勘定科目です。具体的には、貸倒引当金は、将来の損失に備えるために債権の額から差し引かれます。
貸倒引当金は、顧客や取引先に対する債権に対するリスクを管理し、財務諸表の信頼性を向上させるために使用されます。企業は、貸倒引当金を設定することで、将来の損失に備え、収益の過剰な記録を防ぎます。
貸倒引当金は通常、売掛金や貸付金などの債権に対して設定されます。実際に貸し倒れたときは、貸倒引当金を取り崩します。
【決算整理仕訳】
未収収益(Accrued Income)
未収収益の英語表記
その他の英語表記 |
---|
accrued revenue |
uncollected income |
uncollected revenue |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) x1年12月の決算において、x1年10月~12月分の受取利息を未収計上する。
・貸付金:$10,000
・貸付日:x1年10月1日
・年利率:5%
・貸付期間:1年
・利息は返済時に一括で受け取る
・未収利息の計算:$10,000×5%×3か月/12か月=$125
未収収益とは
未収収益は、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を行う場合において、まだ対価を受け取っていないときに使います。例として、利息や家賃の未収が挙げられます。
前受収益(Unearned Revenue)
前受収益の英語表記
その他の英語表記 |
---|
unearned income |
deferred revenue |
deferred income |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債
仕訳例
(1) x1年12月の決算において、x2年1月~3月分の受取利息を前受計上する。
・貸付金:$20,000
・貸付日:x1年4月1日
・年利率:3%
・貸付期間:1年
・利息は貸付時に一括で受け取る:$20,000×3%=$600
・前受利息の計算:$20,000×3%×3か月/12か月=$150
【x1年4月1日 貸付時】
【x1年12月31日 決算時】
前受収益とは
前受収益は、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を行う場合において、対価を受け取ったが、まだ役務の提供をしていないときに使います。例として、利息や家賃の前受けが挙げられます。
前払費用(Prepaid Expense)
前払費用の英語表記
その他の英語表記 |
---|
- |
貸借対照表の区分
【資産の部】流動資産
仕訳例
(1) x1年12月の決算において、x2年1月~5月分の支払家賃を前払計上する。
・家賃:$24,000/1年間
・支払日:x1年6月1日
・賃貸期間:x1年6月1日~x2年5月31日(1年間)
・前払家賃の計算:$24,000×5か月/12か月=$10,000
【x1年6月1日 支払時】
【x1年12月31日 決算時】
前払費用とは
前払費用は、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受ける場合において、対価を支払ったが、まだ役務の提供を受けていないときに使います。例として、利息や家賃の前払いが挙げられます。
未払費用(Accrued Expense)
未払費用の英語表記
その他の英語表記 |
---|
- |
貸借対照表の区分
【負債の部】流動負債
仕訳例
(1) x1年12月の決算において、x1年6月~12月分の支払家賃を未払計上する。
・家賃:$36,000/1年間
・支払日:x2年5月31日
・賃貸期間:x1年6月1月~x2年5月31日(1年間)
・未払家賃の計算:$36,000×7か月/12か月=$21,000
【x1年12月31日 決算時】
未払費用とは
未払費用は、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受ける場合において、役務の提供を受けたが、まだ対価を支払っていないときに使います。例として、利息や家賃の未払いが挙げられます。
売上原価の算定(Calculation of Cost of Sales)
仕訳例
(1) 決算において売上原価を算定した。
・期首商品棚卸高:$15,000
・期末商品棚卸高:$9,000
売上原価の算定とは
売上原価の算定は、企業がその期に販売した商品のコストを計算するプロセスです。期首の在庫や、期末の在庫を考慮します。
具体的には、期首に「繰越商品」として在庫となっていたものを「仕入」勘定に振り替えます。かつ、期末の在庫を「仕入」勘定から「繰越商品」勘定に振り替えます。このような処理をすることにより、当期の売上原価が算定されます。
減価償却費の計上(Recording of Depreciation Expenses)
仕訳例
(1) 建物$100,000を現金で購入した。
(2) 期末に建物の減価償却費$5,000を計上した。
減価償却費の計上とは
減価償却費の計上は、企業が固定資産を取得した際にその価値が経年劣化することを考慮して、固定資産の価値の減少として、毎年一定の金額を費用計上することです。これにより、企業は固定資産の経済的寿命にわたる減価償却費用を負担し、固定資産の使用に関連する費用を財務諸表に適切に反映します。
減価償却費の計上は、固定資産の経済的価値の減少を考慮し、会計上の精度を高めるために行われます。また、減価償却費の計上は、企業の財務諸表において正確な利益を示すために不可欠です。
貸倒引当金の計上(Recording of Allowance for Doubtful Accounts)
仕訳例
(1) x1年度の売掛金残高に対して$5,000の貸倒引当金を計上した。
(2) x1年度に計上した売掛金$2,000が、x2年度に回収不能となった。
貸倒引当金の計上とは
貸倒引当金の計上は、企業が顧客からの債権の回収が困難または不確実であると判断した場合に、その債権に対する損失を見積もって設定するプロセスです。これにより、企業は将来の損失に備えるための引当金を設定し、財務諸表上で適切に報告します。
貸倒引当金の計上は、企業が債権の回収リスクを適切に評価し、財務諸表上で正確な利益を報告するために不可欠です。
法人税の計上(Recording of Income Taxes)
仕訳例
(1) 決算において当期の法人税を計上する。
・当期の法人税額:$1,000
・中間納付額はなかった。
法人税の計上とは
法人税の計上は、企業が法人税を支払うための費用を会計処理するプロセスです。法人税は、企業がその年の事業年度に得た所得に対して課税される税金です。
法人税の計上は、企業が適切に税金を支払い法的義務を果たすため、また、企業の財務状況や収益性を正確に把握するために不可欠です。税金は企業の利益から引かれるため、法人税の計上は企業の収益計算と財務分析に影響を与えます。